なつこのはこ(創作のはこ)

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「えにし~縁~」

えにし~縁~ その5

  えにし~縁~ その1
えにし~縁~ その2
えにし~縁~ その3
えにし~縁~ その4
(つづき)

 その後、強制的に、事務所を追い出された。
 冷静になったとはいえ、まだ私はふらふらしていた。心配してくれた友人が、近くの喫茶店へと連れて行ってくれる。
「ごめん。あんな人だとわかっていたら、会わせなかったんだけど」
 彼女は申し訳なさそうに言った。
 それはそうだろう。誰も彼の言葉なんて信じるわけがない。
 でも、私は・・・。
「彼の言葉は本当だと思う」
「何を言ってるの」
 彼女は私のために怒ってくれている。私が何もわかっていないと思っている。
 でも、彼女は知らない。私の言葉が理解できないのは無理もない。
 周りを気にしながら、顔を近づけると小声で言った。
「彼、反応してたの。あそこ」
「え?」
 そう、『やばい』とはそういう意味だったのだ。手を握り抱き合っていただけなのに、彼の身体は熱くなっていった。その温もりは心地よく、彼の体臭なのか、香水なのか、その香りは、一瞬私を夢の世界へといざなった。
 それが、別の熱に変わった時、彼の言葉の本当の意味がわかったのだ。
「だ、か、ら、そういう奴だったんだって」
「でも彼は違うって」
「そう言ってるだけ。芸能界での言葉なんて信じちゃ駄目よ」
 多分、どう説明してもわかってはもらえないだろう。あの時の、二人の間にあったもの、『絆』、のようなもの、あれは、二人にしかわからない。
 とはいえ、私にはこれ以上どうすることもできなかった。彼の連絡先など知らないし、知ったところで連絡することなどできる筈もない。
 テーブルの上には、手のつけられないまま冷めてしまったコーヒーが二つ、取り残されていた。


     (つづく)


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