なつこのはこ(創作のはこ)

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「えにし~縁~」

えにし~縁~

   思いもしなかった。
 この頃テレビや雑誌では、年下の男性との恋愛や結婚が当たり前になりつつある。
 だからといって、自分がその当事者になるとは思わなかった。
 それも、住む世界の違う人が相手だなんて。


 学生時代からの友人と、いつものおしゃべり。私は、最近好きになった若い俳優の話をしていた。
「今更なんだけど、細谷琳っていう人、いるじゃない。はまっちゃって。ちょい役でしか出ていない昔のドラマをレンタルしてきて、どこにいるのか必死で探したりしてるの」
 おどけて言わないと恥ずかしいくらい、年下の俳優だ。とはいえ、芸能人相手なら構わないよね。
「顔は、世間で言うほど恰好良いとは思わないんだけど、声がね。ほら、私、声フェチだし」
 小学生の頃、『男は、声と手』と言いのけた私である。低く身体に響くような声がたまらなく好きで、長い付き合いである彼女もそのことはよく知っている。
「ネットの書き込みなんかを読んでいると若い女の子なんて、ベッドシーンの囁く声を聞いてるだけで妊娠しそう、だって。さすがにそれはどうかと思うけど、生の声を聞いたら確かに腰にくるかもねぇ」

 他にも好きな俳優や歌手はいる。ただ、何が違うのだろう。
 今回は、弁解でもしているような話し方だ。どうしてこれまでのように、ただ好きと言えないのだろう。
 次から次へと作品名を挙げ連ね、どんなシーンにちらりと出ていたとか、セリフが一言しかなかったとか、矢継ぎ早に言葉が出てくる。圧倒されたのか、彼女は呆れているようだ。
 それはそうだろう。我ながら少しはまり過ぎなんじゃないかと思っているから。
 でもさすがに穴のあく程みつめるので、そこで話はやめた。
 彼女は、何も聞かなかった。
 何も言わなかった。
 いつもの笑顔だった。


      (つづく)


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