なつこのはこ(創作のはこ)

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ショート・ショート

「2人の間に雪は降り積む」その2

 
 引っ越しの日時は自分が伝える、そう言った高木。
 もう、おまえは会うな、そうとも言った。
 俺は、その言葉に従った。
 携帯が鳴っても出なかった。
 会いに来ても、居留守を使った。
 留守電の涙声に、何度連絡してしまおうと思ったことか。
 次第に、彼女からの電話は少なくなり、引っ越しの3日前には、その着信音は途絶えた。

 一目惚れした彼女が、高木の長年の想い人だと知って、俺は悩んだ。
 聞かされたのは、初デートの前日のこと。
 最初からそう言ってくれれば良かったんだ。
 何故、俺が彼女の連絡先を教えてくれと頼んだときに、言ってくれなかったんだ。
 そう責めた俺に、あいつは言った。
「おまえに一目惚れしたんだよ、麻衣ちゃんも」
 翌日、幸せそうに微笑む彼女をみつめながら、俺は居心地が悪かった。
 友情か、恋心か。
 俺は、どちらも選ぶことができずに、彼女を連れて、高木の家へと訪れた。
 俺たちがデートしていることを知らなかった高木は、驚き、複雑な表情を向けた。
 強いて見ないようにしていた彼女の顔は、青ざめていた、と思う。
 2人を前にしても、俺は、どちらを選ぶこともできなかった。

 彼女の誘いに乗る振りをして2人で会い、逐一高木に報告した。
 隠れて会っているわけじゃない。
 そんなのは、ただの言い訳だとわかっていたのだが。
 高木が、紅葉を見に行こう、と言い出した。
 3人で行くわけにもいかず、人数を増やした。
 彼女をみつめる高木。助けを求めるように、俺をみつめる彼女。俺は…、その目から、逃げた。
 タイミング良く、俺の転勤が決まった。
 俺は、何もかも曖昧なままで、逃げ出すことに決めた。
 全てを、高木に任せて。

(つづく)


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